卸売業向けインストラクションコース  【コンテンツ】

卸売業の情報システム − 卸売業の情報システム体系の概要編

第50回「業務システム化の概要(その1)」

1.業務システム化の概要

(1)受注から出荷までの業務の解説
@受注業務の概略

★受注業務の概要
受注業務は定番の【季節や得意先指定の特定期間対象の価格・品揃えを表す見積書に基づいた】注文を受けることと、企画商談に基づいて特売企画の注文を受けることです。
★受注の方法
定番受注について、多くの消費財卸売業では90%以上(行数ベース)がEOS【オンラインによる受注データの受信:Electric Ordering System】で受けています。残りの10%は営業訪問受注、電話受注、FAX受注ですが、それらを受けたあとで入力作業が発生します。したがって営業受注をハンディ端末やスマホ・タブレットに置き換えたり、FAX受注をweb受注に置き換える努力をしている卸売業もあります。そのほか特別にオーダーブック【デジタル化もできる】を用いたり、定番品が予め印刷されたシート【デジタル化もできる】を提供することもあります。その結果、99%がデジタル化された受注であると表現する企業もよくあります。webでは前回購入商品を表示しつつ、新商品の紹介を怠らないなど効果的に情報提供しながら受注できるので新業態向けに期待され活用されています。
オンラインで受注を受けることだけをEOSと言いますが、これはご想像通り『EDI』の一部です。第3部の第3章でご紹介する予定です。

A受注処理の変化と課題
★単価決定
日用品・化粧品業界や加工食品・菓子業界などではチェーン企業を中心に得意先ごとの【場合により店舗ごとに】個別商品単価設定がなされています。そこで見積書をコンピュータに登録しEOS受信後にチェックを行う習慣が定着しています。単価が異なっているとされたら、担当営業が得意先担当者と話し合い正しい単価で納品できるように修正します。また、JANコードまたは小売業専用商品コードで受注した受注データを卸売業の自社商品コードに変換し物流倉庫のロケーションb付け、次の物流作業につなげるやり方が一般的です。この一連の変換は単価チェックと同時に行われます。
見積書を交わさないタイプの小売業(小規模・単独・システムなし)についてはその業態特性を分類し予め決められた単価表を持ち、受注時に単価の記載がない場合には、その表を参照し単価を決定します。つまり単価決定ロジックは受注を100%カバーしているということです。
★商品マスタ連携
近年は単価をほとんど把握していない小売業バイヤーも多く、単価の大まかな相場については発売前でも知らせる必要があり、普段でも問合わせが絶えません。そこでメーカー仕切価格その他の基準からどの程度の価格になるかを情報整備しておく必要があります。先述した単価決定の仕組みが多く利用されるので小売業との相対で単価マスタの十分な整備が必要です。整備により問合わせ件数を限りなく減らすことが肝要です。
★配荷・棚割情報とも連携
単価や商品のマスタはさらに実際の棚割、店舗別の配荷などについて明確にする必要があります。そこで、エビデンスとしては不完全ではありますが、棚割情報【同一チェーン内の店舗クラス等で複数種類ある】と配荷予定【店舗単位の商品別で表すことが一般的】をメーカーと共有する場合があり、連携が必要です。




つづく(次回は第3部 卸売業の情報システム体系の概要 (1)受注から出荷までの業務の解説 B出荷業務の概略 ほかです)

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