卸売業向けインストラクションコース  【コンテンツ】

卸売業の情報システム − 先進情報システム運営の前提条件編

第49回「メンテナンスについて(その6)」

3.メンテナンスについて

(1)メンテナンス体制
Bマスタメンテナンス全般について

C予算作成
予算を作成する際に、通常前年実績に係数をかけて算出する方法が最も一般的に用いられる方法だと思われますが、そうした考え方であればコンピュータや表計算ソフトをうまく利用して予算作成工数を削減することができます。しかし単純すぎる合理化をしたためにそこから進化できていない企業が多く存在するのだと考えられます。またその逆のトップから示達した数値をそのまま使うような企業も同じく進化が止まっている可能性があります。
今述べた、『トップからの示達方式』と、『担当からの積み上げ方式』の2つが代表的でしょう。

予算編成の処理方法の例

図にトップダウン型とボトムアップ型の両方【加えてアップダウン型も】が実現できるモデルをイメージしました。売上予算の自動組立プランに詳しく解説が載っています。ご参照ください。

D価格管理
契約単価マスター【見積書マスター】の価格は通常システムに組み込まれていますので、それを中心に価格体系を整備しようとするやり方が一般的でしょう。一昔前は全担当者にPCが配られているわけではなかったために価格メンテナンス工数と運用で発生する不都合に対処したり入力ミスをチェックする工数は莫大でした。しかし今ではすっかり解決している企業がほとんどになりました。ただし価格決定ロジックが未完成で価格表を手で書いたり表計算ソフトで勝手に見積のごとく一覧表を作ってしまったりと乱れに乱れていることがなくなったわけではないようです。

価格決定のイメージ

E商品コード
かつて大手の卸売業では商品コードが支店ごとにバラバラに登録されていて、経営トップが全社の情報を単品単位でうまく見られないというようなことがありました。それをきっかけに全社の商品コードが統一されました。JANコードでは多くの卸売業に於いては在庫管理や販売管理/仕入管理の最小単位を表すことができないために自社商品コードを採用している例が多いです。商品コードの登録は揃える項目とタイミングが命ですので、専門部署を設ける企業がほとんどです。社内で一元管理をする主旨が徹底されて運用されています。これができていないと支店・営業所の現場で得意先から「何かないか?」と繰り返し問われ思い思いに商品のローカルでの取り扱いを広げてしまい大混乱に陥る危険性があると言えます。
具体的かつ詳細はA商品マスタのメンテナンスにて述べたところです。

C機器設備の保守について
機器設備が大掛かりになるに連れその保守作業の中で設備を停止して行うような、運用に直接影響するメンテナンスもありえます。貨物用EVが代表的です。商品の移動ができなくなることもあるため夜間や休日にメンテナンスしますが、それでも支障がある場合には、その間業務を停めたり、センター全体を休日にする場合もあります。しかし多くのセンターではそのような余裕が少ないと、できるだけ本業に支障をきたすことのない複雑なメンテナンスを計画することになります。
機器設備の納入業者をある程度まとめられる代表的な業者があれば総合的に限りなくすべての機器設備をその業者にまとめてメンテナンス計画を委ね、細かな調整の手間を省くやり方もあります。また熟達した専門業者であれば間違いも防ぐことができ安全安心に繋がります。
欧米の中堅〜大手の物流センターでは専門のセクションをセンター内に置き、そこに熟達したエンジニアを配置しています。そこには緊急性を考慮した部品を在庫したり応急処置ができる工具等を配備しており、例えばコンベアが停止したとしてもほとんどの場合には直ぐに修理して本業の稼働に影響が出ないようにしています。

つづく(次回は第3部 卸売業の情報システム体系の概要 (1)受注から出荷までの業務の解説 @受注業務の概略 ほかです)

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