卸売業向けインストラクションコース  【コンテンツ】

卸売業の情報システム − 先進情報システム運営の前提条件編

第48回「メンテナンスについて(その5)」

3.メンテナンスについて

(1)メンテナンス体制

A商品マスタのメンテナンス
D商品の情報を何のために見るか?
商品の誕生秘話状態から終焉を迎えるまでの段階ごとに何のために必要となり役立つのかについて解説したいと思います。
どのような業務があって、そこで必要とされる項目は何か、そしてワークフロー管理が必要かを設定し、PUSHまたはPULL提供か、DBに組み込む同期するかのバリエーションを決めます。業務の目的によっては必要な情報を渡すだけで完了する場合とワークフロー管理しなければならない場合があります。

a シーズンコンセプト策定
店舗のコンセプトに合った商品を揃えたいという考えが今はスタンダードになっています。シーズンで言うと2季先までの見通しをつけることが一般的ですが、卸売業やメーカーからの情報が得られない/得にくいと言った課題があるります。有名メーカーではないが、コンセプトに該当する商品はありますので、商談には情報が必要でしょう。
b 新商品の紹介と照会
まだ発売も決まっていない時点の対象商品の検索はネットではできません。卸売業営業/メーカー営業に聞いてみる手もあるでしょうが、手間ばかりがかかり成果はほとんど上がらないのではないでしょうか。。有名メーカーは最終的に発売が正式決定するまでは秘匿することが多いので小売業の企画締め切りに間に合わず業務進行が遅延するリスクがあります。
c 商談
商談は直近一ヶ月と少し前に確定するので、中身の薄い話し合いになりがちです。棚割や売場の展開方法などのいつものお決まりの設定を確認するだけで終わることが多いかもしれません。本来は商品の新しい訴求ポイントを確認して教育なども展開したいところです。
d 切替手配と発注
これがもっともマスタデータサービスの基本の部分になります。新商品の照会/案内やリニューアル商品の案内が行われます。特にリニューアル商品はプッシュサービスが必要で、「知らなかった」、または「知らせなかった」では済まされません。
e 新シーズンスタート
商品マスタの整備が完全に行われた状態で、新しい棚割でシーズンがスタートする場面を想定しそこで行われる各業務の初期設定のすべて=商談・物流・補充発注・商品情報【説明/問合せ対応/販促用ほか】が網羅されている必要があります。
f 補充発注と微調整・見直し
補充発注が続けられる中で、微調整としてシーズンの途中での新商品発売・リニューアル商品への切替などの変更(置換・追加・削除等)が行われます。この段階のすべての業務に応えることが商品マスタデータサービスのレベルや評価を決定的にします。業務やデータ処理方法に合わせたサービスが求められます。
g 発注フォローと入替え
補充発注が繰り返される中でフォロー情報の提供が有効だと考えられます。例えば、シーズンの中では当初の意図・コンセプトに照らし合わせるとズレが生じていることがよくあります。これを修正すべく、中間報告として市場全体との乖離やチェーン単位や、場合によっては店舗単位でのアンバランスを防ぐための情報提供が考えられます。
h 自然切り替えと廃番
次のシーズンに向かって商品の切り替えを進める過程において、自然切り替えをデフォルトに定め返品を最小限にする移行方法を提案→確定する段階です。ここでは判断材料として切り替えの売れ方を示し最後の売れ残りに対するギャランティを約束するなど、情報ベース【切替時の予測】の判断が続きます。
i 明日のための分析
来期、その先の対応策を提案してシーズンを終結させるための情報整理の段階です。シーズンの総括が次シーズンのみでなく、来年の同シーズンに改善提案として活用できるように残すことが必要です。そのための指数などを作成し提供します。

ライフステージの例

E理想的な商品マスタデータ
ここまで商品情報のあるべきメンテンナンスの姿と製配販の各層の業務での最適な活用方法を紹介しました。また同時に今の時代ではそのデータ交換の手段方法が問われますので、組み合わせて紹介させていただきました。全貌を説明しきれていませんが、次の図のように業務目的で必要な情報を場合によってはワークフロー化しながら提供/取得【自動運用だったり自ら検索したり】して、必須の情報は共有に力を入れ、追加的な情報は効率よく必要としているところに届け、詳細な情報がほしいときでも資格のある者が入手し活用できるサービスが確立していることが理想だと考えられます。

商品情報共有の理想型

つづく(次回は第2部 3.メンテナンスについて(1)メンテナンス体制 Bマスタメンテナンス全般について @マスタ登録の管理方法 です)

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